無限プール

基本的に褒め言葉しか言わない

ジョーカー感想覚え書き

ジョーカー観てきた。 バットマンのビジュアルしか知らないですが良かった。 すごくいい映画なんだけどあまりにつらくて何回も席を立ちたくなったからもう観直せないな。最終的ににおじさんが殺人鬼に覚醒するのでときたまスカッとするって事前に聞いてなかったら、もう逃げ出してたかも。

新しい事をやってる映画じゃなかったと思う。教科書で読む事とか、新聞で読む事とかをそのまま映像化しました的な内容。 そこがすごいというか、知ってる内容だから落ち込む。 最終的には革命の話なんだけど、革命の象徴になったジョーカーに政治的な意思はない。結局受動的な爆発に過ぎないというか、著しく傷つけられたという感情のために人を殺しているんだけど、大衆はそれを理解できてないし興味もない。アーサーは精神病院に囚われて終わる。 アーサーは薬を飲まなくなってから精神状態がほんとにひどくて、彼自身の行動についてはどこまで妄想か迷う部分もあるけど、ラストで黒人女性のカウンセラーを殺したのは絶対に現実だと思う。

アーサーは最初から黒人カウンセラーが自分の話を全然聞いてくれないって不満を持っている。同時に福祉との唯一の繋がりが彼女だ。だから好きになる女の人も黒人シングルマザーで、その人が自分に優しくしてくれて話を聞いてくれる恋人な妄想をしたんじゃないかという気がする。ストーリー内の位置づけとしては。

なんか画面が光に溢れてて、アーサーがほんとの自分をさらけ出してるようなシーンではほんとにテンションが上がっちゃって、なんか涙が出る。 お母さんはちょっとかわいそう。旦那のDVからこどもを庇えずに自分もおかしくなっちゃった人なので。…トーマスウェインの権力で無理やりそういう事に仕立てあげられたのかもしれないけど、そこは白黒つけられない。 あとの死んだ人は自業自得なのばっかりだったから正直すっきりしてしまった。ようやくやったか!となった。

でも多分日本にジョーカーみたいな人は出てこないと思う。同じような動機で暴走する「無敵の人」が現れても映画の中みたいな支持は絶対に得られないからだ。あと、何より精神障がい者に全然優しくないからきっとみんなアーサーのこと死刑にしろって騒ぐ。彼の不幸は本人の自業自得とも言われそうだしさ。

"─最初の権力奪取は必然的に「時期尚早」である。労働者階級がその「成熟」に達するための、すなわち権力奪取にとって「適当な時期」の到来を迎えるための、ただ一つの道は、この奪取の行為に向けてみずから鍛錬・育成することである。

ローザ・ルクセンブルクはそう言ったけど、ネットとか見てるとそれと真逆の内容ばっかり見る気がする。日本がだんだんゴッサムシティになっていっても、わたしだって別に度胸がある訳でもない。ジョーカーみたいになる人がいるかもしれないって言うTwitterの人とは逆に、わたしはジョーカーの後追いにもなれなそうな自分が嫌だ。誰にも見えないままつまんない人生を頑張って引き延ばすのかなって思って、正直いますごい悲観的な気持ちになってる。

とりあえず遠い将来よりも卒業できるかが直近の不安なので、いまは卒論書き上げよ…