無限プール

基本的に褒め言葉しか言わない

「女生徒」の話

https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/275_13903.html

この話めちゃくちゃ嫌いだと気づきとびっくりした。……昔は文章がものすごく好きだったんだけど一時期からなまぐさいっていうか、時々ドキッとするくらい不潔な感じするようになって読めなくなったんだよね。今は一番苦手な話かもしれない。

ここからは分析を交えつつくさすのでわたしと同じユニコーン族だけ読んで。

女生徒。もとの日記と比べてもオノマトペの多用やら比喩やら増えて女生徒らしさってやつの演出がなされている。話題についても同様。戦時中なのにこっそりパーマかけることへの自己嫌悪とか。あと下着に薔薇の刺繍をこっそりしてますってね。(薔薇はヴィーナスのシンボルでもある)読んでる本とか見たい映画の内容も割と露骨に性愛への関心を示している。逆にもとの日記にあった社会問題への関心がばっさり削除してあるのだ。ここには太宰の読者戦略が透けて見える。太宰は読者男性の関心をひくような少女を書こうと明らかに意図している。つまり性愛やオシャレ、西洋のものに興味はあるけれど、男性中心の社会規範に異を唱えるには至らない人物像だ。従来の良妻賢母的な教育を受け、伝統的な結婚観を踏襲している。女生徒は当時の男性が望むように純潔である。けど、不自然な制度には思春期なせいで順応できない部分があってかわいそう。割と““弱い女””って感じ? 抑圧された周縁部からの語りだよ。

わたしにはそのことがまず気持ち悪い。太宰の書こうとした少女、なまなましいうえに男の理想に媚びてるのかよ! みたいな。王子のいないシンデレラ姫だもんなーーーー。

性的な自覚みたいなものが芽生えてる女の生々しさって引きずられて憂鬱になっちゃうので読んでてしんどいのもあるんだよね。それも気持ち悪い。とにかくなまぐさい感じがする。 ユニコーン的な見方すると家父長制度下の未婚の処女とか処女じゃないよ。売約済なだけよ。 関心の対象が生々しく“女”なだけでも結構イヤなのに、文章全体から感じられる媚態みたいなのが無理!

ということでなんか生理的に無理! おしまい!!